[概要]
トヨタの人材マネジメントという風に書かれているが、実際に読んでいくとトヨタ流の生産管理等の話を背景に、どういう企業であるべきかという事を書いている。
つまり人材育成というよりも、いかに組織文化にトヨタ流のやり方を浸透させているのかが肝のように感じる。
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[感想]
とはいっても組織文化は簡単には変えられない。
組織文化について、いかにこの会社は素晴らしいかというのはいくつも本が出ているが、実際には一時的であったり、他の要因で満たされているからこそ成り立っているような文化も多いだろう。
いくつも面白いエピソードがあり、見ていて勉強になった。
例えば工作機械をカタログ通りに使っていては生産性は向上しないという点。
作業員数を減らしたりする工夫を行うことで、本来の性能以上の成果が期待できる。
本当にその機会は必要なのかを見極めたうえで投資する企業は多いように思うが、このようにその性能以上の成果を引き出そうとする姿勢はなかなか得られるものではないように思う。
また需要や売れ行きこそが最も重要であり、その数字ありきで生産工程を考えるというのも当たり前かもしれないが非常に重要であると思う。
仕掛品や在庫は価値を生まない。
いかに全体最適で考えるのかが製造工程では重要になってくるのである。
また社内で重要技術を温めるという考え方もトヨタならではかもしれない。
現在ではいかに外部から安く技術を調達するのかが重要であると言われている。
しかし鍵となる技術は常に抱えておかなければならない。
トヨタも今CASEに向けていろんなところに投資をし、技術開発を様々に行っている。
これも自社で技術を温めるという精神に基づいているのかもしれない。
最後に今ではよく聞く、見える化や5回なぜを繰り返すというのはトヨタ発祥である話の本当の経緯を聞けて良かったように思う。
巷ではこの言葉を聞くが、単に響きだけが独り歩きしてしまい、本当の意味から外れていることもしばしばあると思う。
まさにこの本の中にあった、経営の神様の考えを間違って利用しているのと同じであるように感じた。
「トヨタがやっているから」という理由だけで響きだけを頼りに妄信する前にきちんと背景を理解できてよかった。
現在サプライチェーンの見直しが進んでいる中である。
その中でトヨタ流の考えも変わってくるだろう。
その時に妄信した台詞を言わないようにしたい。