[概要]
成功している企業がいかに人材の価値を引き出しているのかを検討するために複数の事例と共にまとめた本。
多くの事例では企業の価値観をきちんと伝えることによりうまくいっているように感じたが、それ以外の要因もあるのだろうかと考えてしまう。
隠れた人材価値 (Harvard Business School Press) 新品価格 |
[感想]
ここで挙げられている企業はみな、企業文化や企業内の価値観をその労働者たちが体現しているような存在であると思った。
この本ではGEのジャック・ウェルチが度々例に上がっている。
個人的にはウェルチ以外にもスティーブ・ジョブズも企業の価値観を内部に浸透させた存在であると思う。
こういった人たちはみな、絶えずその働きかけにより企業内にその特有な文化を発生させているように思う。
サイプレスの事事例のように、まるで北風と太陽のように、縛り付けるほど悪循環になっているように感じる。
規則や評価でがんじがらめにすると、チームワークが弱まる。
規則の多さにより、マネジメントよりもコントロールの意味が強い「管理」になっているように感じた。
またこれらの企業は経営層の報酬も少なくなっている。
日本企業の社長の報酬も、大企業ほど年々増大しているように思う。
SONYなどはかなりの報酬である。
これは良い兆候なのだろうか。
さらに今回挙げられている事例では多くの場合、コンサルタントを利用していなかった。
人に頼りたいくらいの問題ならばまさしく重要な問題であるというのは本当なのであろう。
安易にコンサルタントに頼った経営者が自分たちのビジネスを潰していった例はいくつもあるだろう。
社員をきちんと向き合う事さえできていれば、小手先の方法論に頼る必要はないのかもしれない。
この本の最後に解説者が新進気鋭の起業家についての話を挙げている。
彼は恐れや罰によって組織の成功を行ってきていた。
罰を与える代わりに派手な権限移譲を行ってきたのだろうか。
その理由は分からないが、この本の最後として、とても興味深い話であった。