競争戦略論〈1〉
[概要]
競争戦略の論文で有名なマイケルポーターの著書の翻訳版。
この本では企業が業界内、産業内でどういう立ち位置でいることが必要であるのかという事を中心に説明している。
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[感想]
産業的に成功するには周りと違って自社がどういう立ち位置にいるべきなのか。
当たり前であるがとても重要なことである。
それはある製品を生産する企業という立ち位置の話でもあり、取引先や顧客に対してどういう立ち位置をとるべきなのかという話でもある。
普通のことであるかもしれないが、業界内でどういう立ち位置であるべきかというのは改めて重要なことのように感じた。
それを行うにはそもそも自社がどういう成果を社会に与えるべきかを見つめ直さなければならない。
ただ安く売ればいいというのでは芸がないし、模倣されやすい。
ドラッカーは何を行わないのかを大事な考え方としていた。
それは個人でも企業でも資源や時間には限りがあるため、いかにして成果を上げるのかを考えるのに必須だからである。
それを端的に表して行動したのがジャックウェルチの率いたGEであり、それに倣ったIBMである。
その他にもいろいろな企業が何をしないかを考え、自社の価値を高めてきただろう。
産業単位でなくても、何をしないのかによって価格を下げサービスを提供している企業も多い。adtgayahmd.hatenablog.com
何をしないのかは、当たり前のことではある。だけども個人単位のことだとしても意外と考えるのが難しかったりする。
成果を上げるための取捨選択というのも簡単ではない。
ただそれを行うことが出来れば、迷うことも減り、不毛な損失も減るだろう。
経営者の腕の見せ所かもしれない。
一貫性のある人間などほとんどいないように思う。
そしてそれをポジショニングによるトレードオフと表現した当たりは面白いと思った。
これとは別にコングロマリットディスカウントというのが面白かった。
株について調べているとしばしば聞くが、それをきちんとした形で表現した資料は初めて見た。
個人的にはコングロマリットの成功例としてオリックス、失敗例としてライザップを思い浮かべる。
いわゆるシナジーを生むM&Aを行わなければ成果は出ないのであろう。
目的もなく、ただ安いからという理由での買い物は損をするばかりである。
当たり前だけれども誰もがついやってしまいがちなミスだと思う。
さらに、衰退産業に関する話を見ているとどうしてもイノベーションのジレンマというものを思い出してしまった。
代替品が出てくることで高級路線に変化する。
よくある戦略であるが、まさしくイノベーションのジレンマというものにぴったり当てはまる内容であるように思う。
小麦などの飼料価格が高騰すると代替肉需要が増えて食肉が高級品路線になる。そんな日が来るかもしれない。