[概要]
M&Aというテーマで知的財産の話や会計的な話、実際の事例など幅広く記載している。
大事なことは、M&Aは一つの手段であり自社技術の立ち位置を把握し、必要な投資を行える体制を築くことである。
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[感想]
M&Aを成功させるために必要な技術論的な話も会計的な話もしてあり、かなり勉強になった。
ロイヤリティ料率の計算等、実際にどのように考えるべきなのかという事は学びになったと思う。
前半のいかにして技術を収益に結び付けるかという内容は、当時の日本の現状をよく表していたと思う。
現在もそうなのかもしれない。
結局技術を深める事ばかりに注目がいってしまい、誰のために何を作ろうとしているのかあいまいになっている。
だからといって市場だけに目を向けても、そうやすやすと上手くはいかなかっただろう。
この本の中でもサムスンやハイアールの例を挙げていた。
日本の技術のパクリをしただけではなく、実際に製品に必要な技術や品質を見極めて投資をしてきたからこそここまで大きくなれたのであろう。
組織構造として何が正しいのかはわからないが、市場に目を向けられない限りは日の目を見ることは難しいだろう。
また知財価値の金額的な評価の仕方も面白かった。
前から興味はあったが、きちんとした算定方法を知らずに来ていた。
そしてこの本のケースの場合は、他社の知財を使わないことでどれだけお得になったか
という部分に大きく目を向けているような気がした。
実際に自社が特許を持っているからこそ、他社の妨害をしているという事もあるだろう。
そういった場合の影響力の算定方法も気になるところであった。
理由はどうあれM&Aは難しいからこそ、重要な話である。
今回の話は技術をいかに取り込むかという点が比較的重視されていたように思うが、実際は企業文化の融合や優秀な経営者をどのように自社に取り込み続けるのかという点も課題である。
となると、欲しいから買う、安いから買うというM&Aよりも、自社の弱点を正確に見極めて計画的に順序だててM&Aを行わないとそれこそ高い買い物になってしまう。
欲しいのは技術や特許だけかもしれないが、その会社の社員を背負うというのは、それはそれで重要な企業の存在理由である。