ホンダの価値観 ――原点から守り続けるDNA
[概要]
ホンダOBであり、主に海外での事業開発を行っていた筆者のエッセイ的なホンダ紹介本。
筆者個人の経験から見えるホンダの企業文化像が主であり、創業者の本田宗一郎とのエピソードもちりばめられている。
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[感想]
いわゆる役職ではないものの、比較的重要な役割を担ってきた筆者である。
その中で創業者の二人に関するエピソードや2代目以降の社長の雰囲気など、日ごろ聞けないような話も載っていた。
個人的に気になったのはいかに、自分のために会社で働くのかという事である。
働き始めて仕事をどうやったらうまく回せるのかなどという事ばかり考えているような気がする。
それは結局場当たり的であり、自分がどうなりたいのかというよりかは受け身的に目の前の作業をこなしているにすぎないのであろう。
そう考えると、ホンダの企業精神の一つであるいかに自分のために働くのかという考え方は自分にはないもののように感じる。
自分がどうなりたいのかがあいまいであるからかもしれないが、目標があればどうやって会社という環境を使いこなせるのかというところにまで考えがいくようになるのかもしれない。
また「次の工程はお客様」という考えもなかなか実行できない考え方だと思う。
普段から作業をしていて割と投げやりになることもある。
どこまで相手を考えるのかにもよるが、こういった心がけは大切であると思う。
そういった環境がホンダにはあるのかもしれない。
今は研究所も体制変更し、F1からも撤退している。
当時の社風はどれだけ残っているのだろうか。
効率化の前には伝統というものがどれだけの力を持つのか気になるところである。
取引先といかに縁を切るのかという話も面白かった。まさしく北風と太陽である。
期待を過度にかけて、相手から離れていくことを狙うというのはなかなか面白いやり方だと思った。
他にも海外駐在中に得た経験則というのもなかなか面白いものである。
海外に販売先を開拓していったからこそ、このように幅広い考え方が生まれていったのかもしれない。