マネジメント 務め、責任、実践4
[概要]
ドラッカーのマネジメントを4部作に分けたうちの最終部。
経営層としてあるべき姿や、企業の成長や多角化をテーマとした一冊である。
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[感想]
ちまちまと読んできてついに最終章。
分権化と組織階層の関係について気になった。
以前読んだドラッカーの本では組織階層が多すぎると機能が悪くなるという風に書かれていた。
分権化によって、組織階層は多くなるのか少なくなるのかという点が分からない。
権力を分け与え続けるという事は組織としてのまとまりを失わせるのか、それとも目的意識をそれぞれが持つ組織になるのか。
まとまりが失われれば、秩序を保つために階層が増えるような気もする。
そもそも分権化をする過程で、多くの階層を設定してしまうような気もする。
分権化の進み具合と組織のまとまり、階層の関係が気になった。
またドラッカーは経営層の報酬はストックオプションではなく、固定金額で支払うべきであると言っている。
それは経営層の責務を支払金額という形で明確にするためである。
ただ、現在ではそれが逆の形になっている。
ストックオプションにより、株価をいかに上昇させるのかが経営層の動機づけとなり、株式売却益のために専念する人が出てきている。
このおかげで、自社株買いなどで極端に株価つり上げを狙う経営者もいるだろう。
株式価格が一つの成績通知になっている。
これは正しい姿なのだろうか?
経営者の責務を全うするという態度は、企業の何で評価すべきか。そこはまだまだ分かっていない。
ただ当時のドラッカーの考え方はもう変わってしまっている。
成長産業は危ないものであるとも言っている。
成長産業は確かに多産多死であり、成功者は一握りである。
食事の宅配サービスやオンライン決済も同じようになるだろう。
一部が生き残り、彼らだけで利益を分け合う。
生死のリスクがあるという事はより高難易度な経営のかじ取りが求められる。
現在ではそのような成長産業をみんながもてはやし投資を行うが、そのような産業を危険だという彼の発言は面白いように思う。
ただ個人的には、投資も賭博もいかに生き残るか が第一だと思うので、彼の話は納得がいった。
このほかにも適切な事業規模というのは考えさせられる。
組織や目的に合った大きさというのは必ずあるように思う。
むやみに海外進出をして利益を上げる事を求められることはどれほど正しいのだろうか。
現在は利益の大きさがその経営者の指標のようになっている気がする。
資本主義はこの先どうなるのだろうか。