ビジネスモデルイノベーション―知を価値に転換する賢慮の戦略論
[概要]
ビジネスモデルというテーマに対して、組織論やデザイン思考などの多くの点から述べている本。
個人的にはシンガポール政府で実施されている制度が興味深かった。
ビジネスモデルイノベーション?知を価値に転換する賢慮の戦略論 新品価格 |
[感想]
この本の中でビジネスモデルイノベーションは、市場の矛盾を解消していく知の創造プロセスであるとしている。
これをいかに生み出していくのかがこの本の考えるところである。
そのためにはSECIモデルなど、知識の創造プロセスを通じて社会を見渡す必要がある。
その他にも、組織内にはしがらみもあるし、ビジネスモデルキャンバスなどを通じて思考を整理する必要がある。
どれもこれもビジネスモデルイノベーションを考える上では大切な話かもしれないが、内容が広く散っていてしまったような気がした。
思考の整理としがらみは、事業を起こす前と最中の話であるような気がする。
もう少し、知識を形作るためのプロセスにページを割いても良かったのかもしれない。
いずれにせよ、この本で求められているのは目先の損得でなく、人々により快適な生活を提供するためのイノベーションであり、そういった手段を体系的に考えるのは大切なきっかけかもしれない。
シンガポール政府や省庁の制度が興味深かった。
独裁的な政府であるからこそ成し遂げられたことかもしれないが、そうであっても迅速に動く政府を作り上げたというのは素晴らしい実績であると思う。
また年功序列ではなく、優れた人材を出世させる官僚制度というのもなかなか画期的な方法であると思う。
政府の動きは基本的に遅いのが常であると思う。
それがいい意味でブレーキになるのかもしれないが、日本の場合は停滞感を招いているような気がする。
そういう意味ではシンガポールの制度は画期的であるし、こういった制度を作れたのはなかなかの手腕であると思う。