富の未来 上巻
[概要]
ドラッカーのように、これまでの人類の変化から今後の進みゆく道を指摘している。
生産過程の同時性による問題や、今では当たり前な生産消費者の話題がこの本の中心になっている。
新品価格 |
[感想]
同時性についてはなかなか考えることがあった。
ネットの進展によりいつでも繋がれるからこそ(同時性)、より早い変化を求められている。
ただ同時性を加速させると、非同時性も同時に生まれその対応も含めて考えていく必要がある。
非同時性の増加についてはあまり深く考えてことがなかったので慧眼だった。
また同時性を高め過ぎたせいで、現在のコロナウィルスの蔓延している中で経済的な障害が発生している。
さらに非同時性について言うと、今後もし政・産・学の連携を狙うのであれば、変化の速さの差やそれにより生まれる非同時性を解消しないといけない。
これに関して「時間税」とはうまい表現であると思う。
生産消費者については過去に読んだ本により、何となく理解があったため感動は薄かった。
本書でもネット技術が中心ではないものの、いくつかとりあげてある。
特に自分でのこぎりなどの器具や装置を買い(資本を得て)、それをもとに住みよい暮らしを手に入れたり財を得たりというのは当たり前のように思っていたが、改めて考えると面白いと感じた。
また教育やATMの操作、家電の取り扱い説明書の検索作業まで、これまではサービスとして得ていたものが「顧客の利便性」の名のもとに仕事を押し付けられているという点は面白かった。
今後利便性や経営方針の変化の名の下で、どんどん個人で行う作業が増え、その対価として何らかの利便性や便益を得ることが増えていくのだろう。
サービスで支払う財が、金銭以外のあらゆるものが対象に変化していくという点はこれからのビジネスにおいて何らかの気づきをもたらすのかもしれない。
クラウドソーシングなどを用いて、知識のような潜在的なものも含め、いかに富の源泉をかき集め新たな価値に転換していくかが重要である。
より深く理解をしたいのなら、堅苦しいけどドラッカーを読んでみるのもいいかもしれない。