[概要]
古くは技術は存在せず、技能のみであった。
これは職人の技のように秘伝的に方法が散らばって存在しているだけであった。
しかし技能を体系的にまとめたことで技術として一般に普及させることが可能になった。
生産の中心は技能を持っていた人だけではなくなり、社会構造はそれに伴って変化した。
過去の同シリーズを技術的な視点も踏まえて再構築したような内容であった。
テクノロジストの条件 (はじめて読むドラッカー (技術編)) 新品価格 |
[感想]
テクノロジストとは何か。
技術と知識を伴い、自ら手を動かすのがテクノロジストである。
知識や理論の裏付けを行いながら、技術を習得することが重要である。
ある時点から技能を体系的にまとめたことで技術として一般に普及させることが可能になった。
それにより社会が構造自体が変化していった。
テクノロジストとして社会に与える影響に責任を持つ必要がある。
現在でも温暖化など、環境に与える影響を考えなければならない。
本に紹介されていたようにDDTなどが紹介されていた。
それを予測するために常にその動向を観察しておく必要がある。
そのためには技術のモニタリングを継続的に行っていくしかない。
この本はドラッカーなりの技術のモニタリングの成果であると思う。
外部を観察することは企業家精神にもつながるところがある。
イノベーションとは技術革新のみをさすのではなく、新たな価値を社会に創造することを指す。
どのような価値を生むのであれ、成果は外部にしかなく、常にその動向を観察する必要がある。
与える結果は量ではなく質ですべて決まる。
この本の中で知識労働の生産性向上のための6か条でも挙げられているが、
量よりも質により知識社会での成果は決まる。
ちなみに知識労働の成果に関しては、プロフェッショナルの条件でもよく書かれていたように感じる。
技術経営として、いかにマネタイズするのかといった流れがあるが、このような本はそもそもの技術とどのように共存するのかという根本的な部分を問いかけているように感じる。
それは金銭云々ではなく、社会に与える影響を直視する姿である。
成果を生むためにも、テクノロジストとしての責任を果たすためにも外部の観察は不可欠であり、多角的に見る姿勢をなくしてはならない。