プロフェッショナルの条件――いかに成果をあげ、成長するか (はじめて読むドラッカー (自己実現編))
[概要]
知識社会の中で一流の仕事をするために、個人はどうあるべきかどのように自己実現をするかについてまとめられた本。
すべての自己啓発本の基礎になるような内容である一方で、ドラッカーにしては比較的読みやすい内容である。
アジア史に関して若干の訂正が必要である。
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[感想]
「何によって覚えられたいか」この本の最後にあるフレーズであり、すべての内容はここに通じている。
それは最終的にどのような形で自己実現をしたいのかという問いかけであり、そのために何をしなければならないのかという答えである。
ポスト資本主義社会、知識社会の現代において、唯一の武器は知識や知恵である。
基本的な製品はコモディティ化し、労働力や資源も外部からの調達が難しくなくなった。
資本やインフラでの差異をつけることが難しくなり、焦点はそれらをどう生かすかという知識勝負になっていった。
それは量の多寡で価値が決まるのではなく、成果で価値が決まる。
知識社会で働くには、その成果をいかにして産み出すかを念頭に仕事を設計し、継続的に学習していかなければならない。
そのためには4つの現実について対処しなくてはならない。
今の自分に当てはまりがよすぎて感動したこの4つの現実とは、
1.組織の中の人が自分の時間を奪うという事
2.日常の仕事は常に存在するが、それは成長を促さないという事
3.組織として動けてこそ成果が最大化できるという事
4.成果は組織の外にあるため、外に常に目を向けないといけないという事
の4つである。
個人で気を付けるべきこともあれば組織で気を付けるべきこともある。
個人としては成果を出すためにいかにして貢献するのかという点のみに注目しなければならず、プロフェッショナルとして常に結果に責任を持たなければならない。
そのために4つの現実のうちの1や2のように時間を管理して無駄を減らすことから始める必要がある。
そして組織で気を付けるべきことは、成果を最大化するために外に目を向けつつ互いの専門性を活かせるようにすべきである。
極端な話、一人ですべてを知っているのであれば一人で仕事をした方が取り分は大きい。
それでもなお組織化して分業するのは、それぞれの専門性を活かしながら成果を最大化するためである。
そしてこれからIT系の職に就く私に私に一番刺さったのが、データのついての考え方である。
データは過去の事象であり現実的な知覚現象ではない。扱うことが出来るのは常に抽象的な存在でしかないという事実である。
当たり前のことではあるが、このことも含めて忘れないようにしていきたい。
全ての自己啓発本がいらなくなるほど洗練された本であると思った。