[概要]
有名なSECIモデル発表の後に出された本。25年の時を経て新装版になっている。
そのためモデルケースは古いものになっている。
アジャイル開発で使う言葉、スクラムはここから生まれたのである。
戦史に対する話は少し疑いがある。
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[感想]
現在アジャイル開発取りざたされており、その中で使うスクラムという表現とここで使うスクラムという表現はリンクしている。
ただスクラムのもととなる考え方のうち、日本の戦史を使っていたがそこはどうしても腑に落ちなかった。例えとして正しいのだろうか。
実際にアジャイルでもこの本での話でも、開発から提供までを流れ作業ではなく繰り返し絶え間なく届けるというものであるので、同じ用法であると思っている。
それに加えて、最小有効多様性という情報が平等にまんべんなく伝播する生態的な組織を提示していた。
これはアジャイルの目指すところであるように思う。
バックログなどを用意することで誰もが平等に情報を得ることが出来ている。
一方で情報取得の冗長性も考えなければならない。
活動するにあたって不要な情報というのもある。
情報の内容の整理は本当に求められている整理なのかという疑問はいつもついて回る。
情報の整理は行いやすくなったかもしれないが、それ以上に得られる情報が増えているため情報を整理することはより一層難しくなっているのではないか。
情報共有をうまく行う組織というのは今後最適解が見つかるのかと疑問に思ってしまう。
組織に関して言うと、今後はトップダウンでもボトムダウンでもなくミドル層がうまくフィルターとなって活躍することを言っていた。
ドラッカーはインド統治をするときにオランダ東インド会社の階層構造は4段階であったと言っていた。
情報社会になれば階層が今以上にいらなくなる。
組織が変われば出世を目標に頑張っていた人たちの思いを潰してしまうかもしれないが、これは自然な流れである。
個人の目標を出世から成果による報酬にうまく切り替えつつ、情報共有を行いやすい組織体系と中間マネジメント層の活用方法を考える必要がある。
単純にプロジェクト型にすれば成功するのかも気になる点である。
本書の最後に書いてあったように、大事なのは知識ではなく知識創造である。
いかに新たなものを知識から生み出すのか。
結局はこの点が一番重要である。