創生の時―往復書簡〈2〉
[概要]
ダイエーを築き上げた中内氏とドラッカーのファックスのやり取りをもとに、書籍化したものの後編
前巻では問題提起が主であったが、この巻では問題解決に対する考え方に重きを置いて話している。
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[感想]
ドラッカーはこの本の中で、社会セクターの存在がないと社会は甦ることはないといった。
企業は社会セクターであり、NPOも社会セクターである。
成果は外部にある以上、営利目的かは関係なく、社会セクターのような外部に価値を与えるコミュニティの存在は不可欠である。
しかし政府に依存し過ぎているために、そういった社会セクターへの成果の関心は薄れているように思う。
「小さな政府」ではなく「成果を上げる政府」がよいとしていたが、すでに官僚化している政府の歩みは遅い以上、社会セクターに資金を回すなどして政府の依存を解くべきなのであろう。
そして政府への依存は市民性を奪うことになる。
そのためコミュニティを価値あるものにしようとするリーダーシップやイノベーションを起こそうとする気概が損なわれてしまう。
自分のコミュニティは自分でよくするという心掛けがないとイノベーションを起こすような土台作りは難しいのであろう。
また資本主義の利点は失敗を最小化することであるという点は面白かった。
それぞれがそれぞれの考えで動くため最小化される。
改めてこれは共産主義にはないメリットであるように思う。
政府が規制を無意味にかけ続けることにより、規制への依存が強まる。
規制で守ることは資本主義とは反している。
そのせいで日本の食料自給率が低下したという理論は面白かった。
最後にこの本の最初の方にドラッカーの経験談から人事への心得が書いてある。
この内容は、特に成果についての考え方は非常に大事であるように思う。
ずっと覚えておきたい。