[概要]
インターネットの発展を追っていく中で「名詞は動詞化する」という著者の気づきが明快にまとめられてある。
つまりこれまでは概念でしかなかったものが、インターネットを使って写像すると現象として現れ、社会に実際に影響しているということである。
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[感想]
インターネットの発展により様々なサービスが出てきた。ECやシェアリングサービスなどである。これはネットの発展によって表れてきたサービスである。これらはみな、いわば現象である。
春になり新たな植物が芽吹くように、インターネット技術の発展によって概念や言葉、つまり名詞でしかなかったものが現象として世界に現れている。
通信の高速化や機器の高性能化により技術が発展し、それにより新たなサービスを行うことが可能になっている。概念でしかなかった言葉が実社会で価値のあるものとして姿を現しているのである。
著者はこの事実に対して、過去からこれまでを振り返りまとめている。
そしてそれは将来どうなるのかという視点にまで伸びている。
将来ネットにより様々に生活が変化することは、著者にとっては、「不可避」なものであるらしい。
その通りである。技術はこれからも発展し、概念でしかなかったものがさらに実態をもっていくことで社会にサービスとして芽吹くだろう。
この本の中でもっともネットによって進んできたと思える内容を上げるなら、「Sharing」の章であると思う。
ここではデジタル社会主義について書かれてある。
ネットの発達により、仕事を個々の能力に応じて分担して得られた利益を全体で分け合うことが可能になった。
ネットという個々がバラバラに共同体的な動きをするものを、機能体的に制御することで何らかの成果を得ることが可能になっている。
これはいわゆる共産主義ではない。
個人の成果もデータとして残り反映されて、それに応じて利益を得ることも可能になってきているからである。
今後もこういった、全体で何かを完成させることがネットにより可能になると思う。
それによってビジネスの幅は大いに広がるであろう。
現在はグーグルなどが人々の生活に進展し当たり前の存在になっている。しかしそれは今後の新たな社会の変化に対して、確実に生き残りサービスを提供し続けてくれる存在になるとは限らない。
著者もそれを指摘している。
将来の変化の予測が立つのであれば、それに対して考えをまとめて、自分の手で価値を提供することは可能である。
まだ始まったばかりであり、それは現在も「動詞」として実社会で動きだそうとしているからである。