技術経営卒の書庫

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戦後世界経済史 自由と平等の視点から

[概要]

400ページほどの分量で、戦後からサブプライムローン問題までの期間の世界の経済の出来事をまとめている。

アジアや欧米に限らず、南米やアフリカの植民地からの独立なども述べられている。

偏った思想ではなく公平な視点で書かれているように感じる。 

戦後世界経済史 自由と平等の視点から (中公新書)

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[感想]

世界経済の個々の流れだけではなく、関連した内容をうまく結びつけていたり日本との関係を示唆したりと学ぶことが多かったように思う。

この本を読んでいて一番面白かったのが、憲法のない国づくりである。

EUは経済的な結びつきからその成立が始まった。

そして実際に憲法の概念がEU内では存在しない。

その理由として、憲法が必要なのは専制君主制を封じるためであり、憲法があっても独裁者は成立するという理由である(ワイマール憲法ヒトラー)。

日本はいま憲法改正もしくは憲法の解釈について議論されている。

もしかしたら憲法という存在ありきで議論をしているのは間違いなのかもしれない。

軍事クーデターや天皇主権による軍拡路線に政治の方向性が向かなければ憲法に根差して法を定める必要はもうないのかもしれない。

大事なことは議論しつくされることであり、適切な場所に適切な予算が配備されることである。

 

また今でこそ日本は欧米に比べて女性の社会進出が遅れていると言われるが、1970年ごろまでは日本のほうが女性の社会進出が進んでいたというのは驚いた。

もともとどの国でも女性は育児のために働きに出ることはなかった。

しかし教育された女性が増えたことや、保育設備の増加、離婚率の増加など複数の要因により海外では女性の社会進出が増えていた。

どの国も似たような事情で女性の社会進出が増えており面白い発見だった。

 

日本の真珠養殖の成功が中東の石油輸出戦略に火をつけたという小話も面白かった。

まさに風吹けば桶屋が儲かる。

 

また金本位制の撤廃により、貨幣の流通量を国が増やせるようになった。

そのお陰で今のようにバラマキなどの金融政策も行えるようになり、MMTなどの理論も生まれた。

これは誰のための金融なのであろうか。

もしかしたら誰かのもとにうまく富が集中するような仕組みになってしまったのかもしれない。