[概要]
富の未来の下巻。
文化の変遷、貧困問題と産業の波、先進国の動きについてまとめてある。
予測されていた未来と近い現実もあるため納得のいく部分はが多い。
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[感想]
上巻と同様に2回目。
時代の流れ、工業社会と情報社会の切り分けとして、集約的な電力供給システムは工業時代のものであるとしていた。
現在も世界中では集約的な方法を採用しており、特に火力発電によって産業が支えられている。
太陽光や風力などの再エネでは安定的な出力が確保できず、こういったものに頼ることは難しい。現在の技術ではどうしても集約的になってしまう。
地方新電力などの仕組みもあったが、結局は電力卸価格によって集約的な価格統制がされているのでうまくいっていないだろう。
地方新電力が進むには、電力のみならず他の仕組みも変えていく必要があるように思う。
またこのころに中国による世界中への投資を書いていることは素晴らしいように思う。
実際に今世界中に彼らは進出しており、その中には借金により他国の港の使用権を奪っているという点もあると聞く。
アメリカの裏でここまで多岐に手を伸ばしているあたりなかなかのやり手であるように思う。
失業率について、ここでは量ではなく質の問題であるとしていた。
知識の高度化によって職のバリエーションが増えており、望みの職に就けるかどうかは難しい。
その中で職を失ったときに、経済学的には数字でしか見ないが、個人個人としては適材適所になっているのかという点がかなり重要であるように思う。
ただ大事だということは分かるものの、定性的な評価しかできず、定量的に変換できたとしても結局は失業率の焼き直しにもなってしまう。
最後になるが、アメリカ学術研究会議というものの、割ときちんと論理だった報告書が本文で引用されていた。
日本の学術会議では、プラスチック袋の廃止や軍事に関わる恐れのある研究の中止など、個人的には予算に対して成果の全くないような報告がされているように思う。
こういった成果の目に見えた違いが、日本の成長を止めているのかもしれない。