OPEN INNOVATION―ハーバード流イノベーション戦略のすべて
[概要]
アメリカで実際に行われていたオープンイノベーションの話をもとに、その重要性について論じている本。
中央研究所のような閉鎖的な環境で、規模の経済に任せて研究開発を行うシステムの危険性を警鐘している。
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[感想]
内部と外部とどちらの技術を使うのかという話はある。
技術を持っているほうが安心という意見もあれば、安く結果だけを買い入れる方がよいという話もあるだろう。
どちらも一長一短があり、会社の規模や業界によって求める方向性は変わってくるように思う。
ただどちらにせよその根幹を示すのは産学連携であるように思う。
大学というステージでは基礎研究も応用的な研究も行うことが出来る。
日本だと学術会議が軍事的な可能性のある開発研究を認め、10兆円規模の新たな大学へのファンドが決まっている。
日本国内でも大学での研究がより活発になることだろう。
そうなると今度は産学の結びつきをうまく回す存在が不可欠になってくる。
TLO事業は今後さらに盛り上がりを見せるだろうし、大学技術をうまく応用して研究を進める企業も増えるだろう。
産業が活性化されることはかなり良いことに思う。
必要な能力をいつでもシェアリングできる時代だからこそ、自社内で持つもの持たないものの切り分けが必要になってくる。
帳簿価値しか見ていないとこういったものの本質的な価値はわからないし、この本にも書いてあるように知的財産戦略や技術要件を学ばなければ本当の有意性は見えてこない気がする。
規模の経済の話は終わり、量よりも質が問われるのかもしれない。