技術経営卒の書庫

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イノベーションの相互浸透モデル―企業は科学といかに関係するか

[概要]

産業と学術という大まかな流れの中で各自の論文を寄せ集めた形である。

産業界と学会の在り方、関係性を考えることで日本の産業の後退を解き明かすことを目的としている。

実際産学連携の流れやオープンイノベーションの流れは日本にも浸透してきており、大学としても知的財産や共同研究によっていかに研究費を獲得するかという事に注目してきているため今後とも重要なテーマになっている。

イノベーションの相互浸透モデル?企業は科学といかに関係するか

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[感想]

年数的にはかなり古いテーマではあるが、オープンイノベーションという言葉を少しだけ巷で聞くようになった気がする。

新聞や動画などでもそういった言葉を取り上げ、いかに外部知識をうまく活用して収益を上げるかという話になってきている気がする。

adtgayahmd.hatenablog.com

 

実際の成否はともかく、世の中の流れとしては社内での技術の深化はその専門性の広がりから実施することが困難になってきており、いかにリスクを抑えて成果を上げるかという事に着目する流れは自然なものであるように感じる。

 

最近では5Gの特許数を世界的に比較して、日本は技術が遅れているという話をすることが多い。

もっとも特許としては必須の特許を保持していることが重要であり、必ずしも数で正当性が示されるわけではない。

しかし特許が出るという事は、人であれ予算であれそれだけ研究が熱心に行われているという事の証明にもなっている。

5Gの特許を例に挙げているが、実際にこの大多数は企業の特許であろう。

となると各国の大学の特許事情はどうなのであろうか、もしくは特許を保有している国はどれだけ大学の力を使っているのだろうか。

個人的には、企業内だけで技術を深めていくには限界があり、共同出願や大学からの特許の購入なども大いにあると思う。

今回の論文で指摘しているケースでも、日本はディスプレイに関して韓国に発表件数で負けている傾向があった。

同じように通信規格の世界でも日本は中国やアメリカに発表件数で負けているのかもしれない。

もっとも重要な研究成果は秘匿するケースもあるだろう。

だが、技術と科学の視点が混じりあい企業と大学が手を取って成果を生む時代はもう来ている。

その時に企業は自社内に技術的な何を保持して、外部から技術的な何を調達するのだろうか。

その選択を誤ると致命的になるかもしれない。

企業は産学の在り方を見直すことで技術的な戦いを略すことが重要になっている。