[概要]
製品を構成するには各部分の優秀さとそれを全体的にいかにうまく取りまとめるかが重要になる。
この本では全体を取りまとめる仕組み、システムについての重要性を書いている。
それは単にすり合わせ産業といった言葉でまとめるのは到底言葉足らずな気がする。
世界を動かす技術思考 要素からシステムへ (ブルーバックス) 新品価格 |
[感想]
所々面白い技術論があったが、技術思考というタイトルに惹かれて本を読んだ人にはつまらない内容だと思う。
この本にあるようにシステムは身近なところに多く存在している。
電力網もシステムであるし、サプライチェーンもシステムである。
製品設計のシステムや製品を効率的に販売するために標準化を行うことも一種のシステムであると思う。
そういった要素と要素を結びつけているシステムが重要になってくる時代が来ているのであろう。
だからこそITのように効率化と省力化に向いている産業が発達するのであると思う。
プロセスを最適化していくたびに、無駄がなく安く商品を手に入れることが出来る。
プロセスイノベーションとプロダクトイノベーションという対比でみると、日本はプロセスイノベーションは上手かもしれないが、プロダクトはどうなのであろうか。
プロダクトイノベーションが起こるようなシステムこそが日本人には求められているように感じる。
一方でこの本にあるように、省力化し過ぎて冗長性がなくなるというのは非常に恐ろしいように思う。
前から思っていたのだが、サプライチェーンの無駄を省けば省くほどに、何か事故が起こると対応が難しくなるように思う。
この本の中では東日本大震災によるサプライチェーンの乱れがあったし、近い話ではコロナによる輸入の遅延がある。
最適化は本当に最適化なのかとしばし思うことがある。
過去の実績からAIにより無駄を省けるのはいいが、冗長性への対応とかそういったことがどうしても気になってしまう。
今の自分にとって都合がいいところをつまみ食いするだけの仕組みならば、それは最適化ではなくご都合主義でしかない。
本当に最適なシステムというのは、どこまで行っても実現しないのかもしれないが、そういった状態を求め努力することが企業にも人類にも必要なのかもしれない。