技術経営卒の書庫

自分が読んだ本について、内容を忘れないようにメモしていこうと思います。このサイトはアフィリエイト広告を利用しています

日本のものづくりの底力

[概要]

経営や技術経営に関するテーマの複数の論文・投稿をまとめた本。

ものづくりの現場、グローバル競争、価値づくりの複雑化、政府や金融機関の在り方などの点から考察が行われている。

日本のものづくりの底力 (Hitotsubashi business review b)

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[感想] 

海外にサプライチェーンを移す問題点として、現地調達率と隠れた日本コスト分析するという話が面白かった。

そのパーツが日本製かどうかだけではなく、日本製の工作機械を使っているかどうかも日本コストを検討するうえで重要である。

東南アジアは労働力こそ安いかもしれないが、技術のなさを補うための隠れた日本コストが増大することで収益のうまみはなくなる。

量産可能なものを海外の低い技術力のもとで製造するからこそ、コスト意識は重要になってくるのである。

風水害のリスクに備えるためにも、東南アジアの技術的な自立は重要になってくる。

そして隠れた日本コストを減らしても必ずしも日本の利益が減るとは限らない。

価格競争に勝つことで売れ行きが増えることも考えられる。

実際に日本の自動車業界では同様のことが起きていたらしい。

今後企業はグローバル化のもとでどんどん日本から離れていくことが考えられる。

その場合でも本社が日本にあればそれだけでも経済に寄与することが出来る。

企業のありかたと海外進出による利益の流出は今後も考えていかなければならない。

産業の空洞化、雇用の確保など考えるべき点は多くあるように思う。

 

また太陽光発電を題材にした、産業競争力の話も面白かった。

脱原発を進めるために太陽光発電は、

クリーンで、

原発の代替として利用可能であり、

普及のために経済効果があると考えられていた。

しかし実際は、安価な中華性の太陽光パネルに市場を食われていた。

高い買取費用を求め太陽光パネルが乱造した。

普及は必ずしも経済発展を促すものではなかった。

adtgayahmd.hatenablog.com

 

同様に家電エコポイント制度も経済政策と環境政策を両立させようとしてちぐはぐになっていた。

 

政策立案の難しさがある。

市場拡大や普及が日本の成長や雇用の創出に結びつくとも限らない。

短絡的な刺激的政策では産業政策としての意義が薄れてしまう。

adtgayahmd.hatenablog.com