[概要]
1巻と比べて、物理的な立ち位置に重きが置かれている。
それらをこの本ではクラスターと呼び、地域内での価値連鎖などについて論じている。
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[感想]
1ではあくまでも業界的な立ち位置、数字の上で判断するようなポジションであったのに対し、この本では物理的な立ち位置。
つまりどこにどのような役割・機関を設置するのか、という点に重きが置かれている。
日本でも関連する産業が集積して栄えてきた町があるように、海外でもそのような事例はよく見られるらしい。
本にするほど論ずるに値するなら、それは一大産業を巻き起こすようなものでないといけないのかもしれないが、大なり小なり日本でも同じことは起きている。
現在でも博多や渋谷を中心にIT企業が集まっているし、大田区には中小工場が現存する。
大事なことはそれらの空間で自然と産業が発達することである。
政府主導で無理やりボブスレーを作るという、関連性のないことをやるのではなく、関連している産業から必要なものを集め発展させていくのが一番良いことであると思う。
それによって失われていく街もあるだろうが、そういった話をしたいのではなく、地域に根付いた産業の重要性、そこから発達していくことの重要性を強調したい。
また技術は土地柄にも影響されるのでその違いも考慮することは重要である。
日本ではもともとレンガ造りの家がない理由。
土地によって産業の発達の仕方、技術の進歩の仕方が違うのでそういった部分を見ていくと面白いと思う。
そしてエコシステムとクラスターの学術的な使い分けが気になった。
またこの本の中では政府の役割について書かれていたが、納得するようなところもあった。
日本政府は複数の企業を束ねて無理やり共同研究をし、うまくいかなかった事例をあげていたが実際にその通りではないのかと思ってしまった。
結局官僚の成果は定量的にはいかに予算を財務省から引っ張れるのかになるのではないかと思う。
そうなると、効果の薄いようなプロジェクトも出世の小道具として起きるのではないか。
個人的にはEVの購入補助金よりも、EVに関する研究に予算を当てた方がずっと日本社会に貢献できるのではないのかと思ってしまう。
また最後に提言として書いてあった、株式相場への意見は見ていて面白かった。
確かに現在の株式市場は一部の人間の利益のために動いているように見える。
個人がヘッジファンドをはめ込むと罪になる、一方でヘッジファンドがはめ込むことは罪にはならない。
経営者たちは自身の経営能力を示すため、利益は自社株買いに使う一方でコロナのように経営が悪化すると容赦なく人員削減を行う。
それ以外にもいろいろと事例はあるだろうが、株式相場は本当に健全であるのかと最近いつも思ってしまう。