[概要]
文明の起源前から現代にいたるまで、国や気候、文化の違いによる技術の発展と普及についてまとめた本。
例えば木の性質の違いから、日本の建築文化は柱を軸とした柔な構造になっているといったことが書いてある。
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[感想]
気候や文化により発達する技術や価値を失う技術があるという視点は面白かった。
現在でも湿度の違いにより、電子部品などは機能しないものがあるという(30年前当時)。
そういった違い、技術のみでなく三圃式などの農業形態の違いまで描かれており広い視点で楽しむことが出来た。
また技術要素以外にも当時の特許や既得権益集団などあまり知ることのない情報もあり勉強になった。
ドラッカーでは活版印刷が技術普及のきっかけとなったとしていたが、こういった文化の違いによる普及速度・形態の違いも改めて知る必要があると思う。
また富岡製糸場や官営釜石製鉄所が必要以上に大きかったという話も面白かった。
渋沢栄一はもう少しうまくやっているのかと思っていたが、この文献からしてあまりに大きすぎる製糸場だったらしい。
最後になるが、疫病からの救いを求めて奈良の大仏を建立した際、水質汚染が発生し遷都したという記述があった。
教科書にそのようなことが書いてあったのは見たことがある。
人類の行く末も結局、自らを救うために環境を汚してしまうというものかもしれない。