[概要]
少子高齢化ではなく、生産年齢人口がデフレの問題点であるというスタンスのもと論じている本。
出産や育児をはじめとして一番お金を必要としている層に対していかにお金を回すかという事が度々書いてある。
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[感想]
主観ばかりでなく、データに基づいて書かれておりある程度筋が通っていると感じた。
このような本は前にも読んだことがあり、例えばそこでは最低賃金や生産性について書かれてあった。
これも最低賃金を上げることで給与を欲している人にお金を回し購買を促そうという事であろう。
今回の話で問題であるのは、個人的にポスト資本主義社会においてモノがほとんど市場に行き渡っているという点であると思う。
これらのどの本でもサービス業の生産性の低さを嘆いていた。
政府としてもサービス業を盛り上げるために、特に観光業を盛り上げるために様々な背策をとっている。
バラマキをせずにGOTOキャンペーンをしたのも、生産ありきでサービス業を回すという事と、周辺産業例えば旅館に魚を提供している漁師たちの給与のためでもあると思う。
サービス業の生産性が上がれば、農業漁業まで波及し全体的に利益を得られる可能性があると思う。
資産効果という言葉になじみがなかったので勉強になった。
また周辺国の発達が日本経済を引き上げるという話は、個人的には一時的な話であると思う。
というのも、いくら最先端の技術が必要だとしても、何事も限度があるからである。
どんなものも、そこそこの強度があればわざわざ頑丈な高級品を買う必要はないのが大半である。
実際にインフレというものは起こせるのだろうか。
世の中は常に最適化に向かい費用を削減する一方で、世の中には似たようなものが増え価格競争で削りあいながらも生き延びようとしている。
ほっといておけばデフレに向かうのが必定だろう。
その中でお金をばらまき貨幣の価値を下げることでインフレは起こせる。
これは総体的な話であり、モノの価値自体が上がったわけではない。
その中で目新しい、画期的なものが生まれるとそれを高いお金を出して求める人が出る。
こうしたイノベーションを起こせない限りはモノの価値は、市場にあふれることで目減りする一方であろう。
人類が進歩出来る限りはインフレは起こせるし、進歩が止まればデフレになる。
人類は経済という一種の「信用」に試されているのかもしれない。