[概要]
当時の科学に関するニュースを大まかな技術説明、なぜ失敗したか、その時の世論はどうであったかなどを記してある。
技術に疎い人でも分かりやすい例と共にまとめてある。
中古価格 |
[感想]
この本から一番感じたのはマスコミのふがいなさである。
失敗した時は徹底的に非難し、成功した時は技術大国ともてはやすマスコミ。
人間の感性としてはそれが一番ウケるネタであるのだろうが、それで話が終わっている場合が多い。
例では人工衛星打ち上げ失敗からの巨額損失の話になっていた。
原発の事故からも同じ匂いを感じる。
事故自体は凄惨なものであった。
その損失は大きいがメディアは失敗からの学びに関しては伝えることはない。
原発が間違いだったというのは学びではなくプロパガンダであり、失敗したからこそどういう技術発展が必要なのかを考えるに至っていない。
安直に太陽光発電を増やすという意見もあるが、再エネの増加は隠れたデメリットも多く、そもそも大半は国外生産であるという事も隠されている。
問題の本質でなく、メディアが伝えたい意見の話になっているのが恐ろしい。
NHKですら歪んだ情報を垂れ流していることが怖いものである。
このあたりのふがいなさを改めて感じた。
併せて日本人の特性である、失敗率0%でなければならないという点もである。
成功率100%にしていくのが人類の進歩であり発展である。
はじめから100%にすることは出来ない。
過去の失敗から学ぶことを繰り返し進歩する。
それを否定するような国民性になっているのかもしれない。
一番愚かなのは、失敗を恐れて進歩を止めることである。
失敗することで多くの税金が無駄になるのかもしれないが、失敗がなければ進むことはない。
情緒で物事を考えてはいけない。
コロナ対策も怖いからなどという情緒で批判をする場合が見られる。
怖がっても状況は変わらない。
正しく見つめるために失敗を生かすために情緒抜きで考える必要がある。
政治のビジョンがなければ、政府主導の技術革新は進まないだろう。
政治のビジョンが見えてくればもう少し正しく批判できるのかもしれない。
withコロナや今後日本に新たな伝染病が流行ることを見据えてのGOTO政策かもしれないが、メディアの成果言葉足らずになっている印象である。
日本で終息しても海外からの渡航者のせいで再度流行する恐れがある以上、いかに両立して生きていくのかを考えなければならない。
その点を踏まえて政策批判をすべきであるし、成功と失敗を評価すべきである。
それを情緒で批判する限り科学政策もうまくいかない気がする。
また兵器の進歩の話は面白かった。
改めてミサイルなどの技術は進歩していると感じた。
テポドンも今まではたいして本気で受け止めていなかったが、技術的にいつでも日本を攻撃できるという事を改めて思い知らされた。