ホワイト企業 サービス業化する日本の人材育成戦略
[概要]
時間外労働などの話ではなく、人材育成ややりがいのある職場をホワイト企業ととらえ、どのように職場を変えていくべきかを書いた本。
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[感想]
ホワイト企業とブラック企業の定義が自分のものと違っていたので、思うような感動はなかった。
どちらかといえば、ホワイト企業には法令順守のイメージが強かった。
今回のように人材を伸ばす企業というのは大事なぞんざいであると思う。
働き甲斐あっての働きやすさという事であろう。
ドラッカーも渋沢栄一も企業は社会貢献あってこその存在であると言っている。
ただ気になるのは、若者への視点である。
いわゆる「近頃の若い奴らは」という視点になっているのでは、と気になった。
世の中の若者は収入も安定せず貧困になっている人たちも多い。
そういった中では成長を考えることも難しい。
マズローの話を引き合いに出していたと思うが、そもそもの衣食住が足りていないのに成長する喜びを考えるのは無理がある。
今回引き合いに出されていた事例も接客サービス業が多いが、接客サービス業こそ大衆化しているせいで平均給与が安い業界であると思っている。
「成長しサービスの質を上げ組織に成果をあげ給料を増やすこと」と、「満足のいく給与があるからこそ成長できるということ」どちらが先であろうか。
そうなると卵と鶏どちらが先かという話にもなるが、私はやりがいよりも先に生活の保障が来るべきであると思っている。
やりがいという言葉で労働力を搾取する企業をブラック企業と呼ぶのであれば、この本の内容はまさしく紙一重になると思う。
その点の議論があるのかが気になった。
老いも若きも関係なく、生活あってこそのやりがいである。
隠れた人材価値に載っていた内容のように事例としては面白かったが、思考が歪められていることも考えなければならない。