[感想]
他の業種のビジネスモデルからヒントを得て、自分の業界に当てはめることで新たなビジネスを生み出すという一見簡単そうに見えて難しい、そういった事例を挙げている。
どう知識を得るか、どう活用するか、どういった課題がそこには存在するのかという流れで進んでいく。
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[感想]
類推(アナロジー)が出来る人は思考力が高いと聞いたことがあり、そういった人たちが新しいビジネスを生み出していけるのだろう。
この本では他業種のビジネスから着想を得て新たに事業を行っている話が多くあった。
まず最初に驚かされるのは、成熟していそうな文具業界ですらビジネスモデルの変革が短い期間に何度もあったという事である。
インターネットの黎明期という事もあるが、だとしてもここまで変化の激しい業界であるとは思わなかった。
それと同時に、この本の最初の事例として紹介されているスターマイカの話は面白かった。
まさしく類推の結果のたまものであると思う。
またパーク24のモデルも面白かった。もうけを見つける方法はいくらでもあるのだと納得してしまう。
一方できちんと棲み分けも行われているあたりから事業の継続性を感じた。
ビジネスモデルを整理するために真の顧客は誰かという事に着目していた。
ドラッカーも真の顧客は誰であるのかを考える事を提唱していた。
例えば、この本の事例であったようにタービンの売り方をメンテナンスに変えることで利益を上げるモデルを言っていた。
もしくはシェア外こそが次に獲得できる顧客であるために、そちらに着目せよと言っていた。
今回の事例もこういったものに当てはまっていると思う。
顧客の再定義、自身の事業の再定義は新たな市場を生み出すきっかけになるかもしれない。
例えば、売り切らずに安価でメンテナンスといった形で契約することで購入を促しやすくなる場合がある。
SaaSはまさしくこの特性をうまく利用しているように思う。
初期投資のハードルを下げることで顧客に導入をしてもらいやすくしている。
同時に提供側も継続利用による固定収入を得やすくなっている。
売り方を考えるのは非常に重要である。
疑問であるのがこの場合、会計的に資産の増加はなくなるがSaaSがどれだけの効果を会計にもたらすのだろうか。
また真の顧客に着目することで、当たり前になっていた価値提供をあえてやめるビジネスモデルも面白かった。
QBハウスなど、ある意味の最適化である。
またこういったモデルを実行するときには組織内の反発はあるだろう。
そこをいかにして攻略するのかが難しいと思う。
インテルのUSBの配布で社内がもめたように、新たな売り方には波乱が待っているのかもしれない。