[概要]
テーマはマネジメントとなっている。
マネジメントは経営でも管理でもない。
ここでいうマネジメントの意味・目的は、知識社会において、組織内の個々の人間をいかに活かしながら外部(顧客)へ価値を与えるかということである。
つまり生産性を向上させる方法を考えるのがマネジメントの意義である。
そしてこの本のタイトルはあくまでリーダー(指導者・導き手)であり、ボス(上司)ではない。
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[感想]
この本のタイトルはリーダー(指導者・導き手)であり、ボス(上司)ではない。
いかに人々をリードするのかという事に必要なものは、人の上に立つものとして権力をいかに行使するのかということかもしれない。
しかしリードするため必要なものは、目の前の現実に対して問題意識を持ち行動することである。
ボスには一人しかなれないかもしれないが、組織内では一人一人がそれぞれの専門性に応じたリーダーになることが出来る。
これは以前読んだ、「採用基準」といった本にも同様なことが書いてあった。
結局問題意識を持って取り組める人材こそが、これからの時代に活躍していくのであろう。
そういう意味ではドラッカーの内容の実践の成果なのかもしれない。
今回の内容でいうところのリーダーはこういった、多様化している知識を集約できる素質を備えた人物であり、時代を変えていける人物のことである。
それはオーケストラの指揮者のようによい演奏という目的に対して、各楽器の専門家をどのようにまとめ上げるのかという事に似ている。
マネジメントの本質は、既存の情報を人的資源というブラックボックスに入れた結果、情報を知識へ、知識を行動へ変換していくことである。
外部への価値を産み出すために、どのような情報を行動へ変換する仕組み・装置を作り出せるかが重要である。
そのためには組織づくりや従業員の配置がカギを握る。
組織の在り方としては、その組織の事業を定義し目的を定めることで見出すことが出来る。
機能体や共同体といった組織体系があるが、どちらも一長一短あり、理想的な組織づくりというのは難しい。
さらにはどのように従業員をいかにして活用するのかという点が難しい。
方法としては自己管理によるマネジメント方法が挙げられる。
それぞれに目標設定をさせることで、仕事に責任を持つことが出来る。
責任と同時に裁量も与えられるので、その中で自分はどういう行動をすべきかという事を考えることが出来る。
またwikipediaやlinuxのように、一つの達成目標に対して個々人が意識的に取り組むことで成果を得る仕組みもこれと似ている。
企業ではないものの、個々人がそれぞれ目標をもって行動を起こすことで何か一つの成果を得ている。
インターネットの普及ともにいろいろなところに散らばっている知識を集約する方法が生まれてきている。
クラウドソーシングが最たる例である。
意識的な行動、専門性をを成果に結びつけられる組織というのはかなり強みになってくると考えられる。
このようにマネジメントとは、知識社会の中で人材を活かしながら社会に顧客の求める変化を起こし続けることである。
組織の在り方は難しいが、イノベーションを起こしやすい組織形態こそが世間から求められていると思う。
そのためにも誰にもマネジメント思考が必要である。