[概要]
GEの全盛期にCEOを務めたジャック・ウェルチの戦略や経営手法について、その背景とともにまとめられた本。
実際の出来事とその場面での本人や側近のセリフから当時の様子を伺い知ることが出来る。
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[感想]
彼の取り組みは当時としては画期的なものが多いが、一番重要なことはその取り組みを一時的なキャンペーンとして終わらせなかったことである。
シックスシグマなどいろいろな取り組みを行っていたが、それが短期的な利益の追求のためではなく、組織文化に根付かせたことが何よりの功績である。
一時的な取り組みとして品質追求などはあるだろうが、ウェルチはそれを企業文化にし、なおかつGEを偉大な企業にした。
他にも素晴らしい組織文化を持つ企業はあるだろうが、そのCEOの存在を旗印にGE内部では組織文化が根付いたように思う。
また大企業の官僚組織化をなくすために、いわゆる権限移譲をどんどん行っていたり、組織の階層構造を撤廃したりと様々な工夫をしていた。
他にもより良い結果を出すために、単一の要素ではなく新しいパラダイムを求める新幹線試行という表現は面白かった。
細かな数字を求めるのには意味がなく、今までと異なった発想をもってくることで社員が目標達成のためにベストを尽くせるようになる。
金銭やノルマで縛るのではなく社員が能動的に動くことで管理するというのは、なかなか達成が難しいものの得られる成果は大きいように思う。
組織の在り方はいろいろな問題があるが、実際の官僚の脱官僚組織化は不可能であるのだろうか。
これが可能になるならば、政治の動きもかなりスピードが増すだろう。
権限をどのようにするのかという問題はあるものの、政治と経済のスピードが増すことは、結果として国の富の増大には必要であると思う。