技術経営卒の書庫

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プラットフォーム・リーダーシップ―イノベーションを導く新しい経営戦略

[概要]

インテルの事例を中心に、プラットフォーマーが実際に行ってきた戦略についてまとめられてある。

その戦略指針を4つのレバーとして分類し説明している。

 

プラットフォーム・リーダーシップ―イノベーションを導く新しい経営戦略

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[感想]

4つのレバーが紹介されていたが、個人的に重要になるのは外部との関連性をいかに確保するのかという点に尽きると思う。

外部との協力ありきで戦略を立てられないならば、結局自社でも同じことをしなければならずイノベーションを起こしにくいと考えるからである。

この時に外部との協力を得られる線引きが出来るようなモジュール化された商品は技術的な条件となる。

プラットフォーム戦略はオープンクローズ戦略と重なるところが多い。

技術を公開して(標準化して)市場を拡大し、自分も外部企業もシェア率は下げてもそのパイの拡大により満足な収益を得ている。

重要な技術は秘匿化して絶対不可侵領域を作り自分を守るのである。

一番の違いは製造コストを下げるために行っているかどうかである。

標準化は統一的に作ることで製造コストを低減させる目的があるが、プラットフォーム戦略に関しては、必ずそれがあるかは見受けられない。

インテルは自社製品の市場価値を高めるために、下流構造を標準化して自社製品をロックインさせていた。

これはコスト削減のために行っているとは言えない。

コストダウンを図るのであれば関連企業のみにインターフェースを提供すればよいからである。

そういった自社優位の思惑を隠しつつも仲間づくりをするためには、それだけの援助が必要になる。これが一番大変なのではないか。

本の内容以外の他の例としては、日本でもニンテンドウ64がPSに一時的に負けていたことが挙げられる。

これは主力製品の開発の遅れや、機器の性能によるグラフィックの差もあったかもしれないが、一番の原因はプラットフォームリーダーとしての準備の差であると思う。

PSはプラットフォームリーダーとして、当時は画期的であった3Dグラフィックゲームに対するプログラムライブラリの提供をサードパーティーに行っていた。

また安価に開発環境を提供していた。

一方ニンテンドウ64はライブラリを作ることもなく、開発環境の提供も安価ではなかったため、サードパーティーの取り込みは出足が悪くなった。

さらにPSには下位互換性も備わっており、プラットフォームリーダーとして十分な行動を果たしていたように思う。

またソフトはCDで販売していたため、製造方法も標準化された方法である。そのため利益を上げやすくなっていたと思われる。

 

最後に英語を意訳ではなく直訳したような文章がいくつか見られるため、この文節がどこの名詞を修飾しているのかという点で読みにくいところがいくつかあった。