[概要]
中国の家電企業であるハイアールの成功についてその戦略をまとめた本。
中国は人口が多いから市場が豊富で成功しやすいと思いきや、ハイアールの横で散っていった企業も数多くある。
生き残ることが出来た理由としては、起業家精神を養うようなプロジェクト制を社内に用いたことである。
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[感想]
中国は人口が急激に成長しており、未発達の市場のため起業すればそこそこうまくいくと思いきやそうでもないという実情が描かれていた。
作れば売れるという背景がある中でも、品質の良いものを作ろうとしたことが何よりも重要だったのかもしれない。
この本の中では、ハイアールが自社の不良な冷蔵庫を打ち壊した話を引き合いに出していた。
そのように高性能にこだわり長い目で見て顧客の信用を勝ち取ったことはかなり重要であったのだろう。
そしてそのハイアールの戦略の実態であるが、プロジェクト型で製品開発を行うことにより成果を上げていた。
ただプロジェクトという形でくくるのではなく、成果は給与という目に見える形で提供することやリーダーが不適人となった時にすぐさま代わりのリーダーがたつ仕組みなど様々に工夫を凝らしていた。
この代わりのリーダーも同じタイミングでプロジェクト配属されながら、場合によっては交代するという常に実力主義が付きまとうプロジェクトである。
それであって、あくまでも成果は報酬金額として反映されるためリーダーとリーダー候補の関係がギスギスすることはないという仕組みであった。
またプロジェクト制にしたのも、この方が顧客の需要に目を向けやすいという理由からである。
きちんと組織として配慮されており、全体として階層の少ない組織であった。
大学院の頃に理想の組織として想像していた組織に全く似ているような組織がハイアールでは繰り広げられていた。
このように実際に組織ではどのように動いているのかを学べたのは良かった。
そしてこの本でも指摘されているように単純にきれいな部分だけを切り取ってあるべき組織論として思い描くのは失敗を伴うため注意が必要である。