[概要]
スマホの祖先はPDAだと思うが、PDAのさらに一世代前、Windows95の発売前にタブレット上のパソコンを開発しようとしベンチャーを立ち上げた人物の手記。
当時の様子を克明に記してあり、いかにベンチャーで成功するのが大変かという事が手に取るようにわかる。
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[感想]
一人の起業家が自身の思い描いたデバイスを世に送り出そうと起業し苦闘した日々をつづった本。
IBMやAT&T、マイクロソフト、インテルなど有名な企業との交渉事やいかに事業資金を集めるかに走りまわる主人公の姿があった。
体力勝負ではどうしても大企業が強いため、足元を見るような行動ばかりされ事業継続の危機を迎えることもしばしばであった。
IBMも当時は厳しい事業繰りではあった。
容赦なく相手を潰す姿勢というのはビジネスには不可欠なのであろう。
ドラッカーがキャッシュフローこそ大切であると言っていたことが分かった気がする。
今回のケースは一度も売り上げを立てず、夢を人々に見せながらどうにか資金繰りを行っていた。
これは奇跡的な例だと思う。実際には資金集めに難航し、ベンチャーキャピタルの言いなりになることも多いのではないか。
ドラッカー的に彼の企業はなぜ間違っていたのかを考えるのも面白いのかもしれない。
少なくとも現代ではタブレット端末は主流になっている。
その野望は間違ってはいなかったのだろう。
当時の人々はバブルに浮かされていただけなのだろうか?
他にもベンチャーキャピタルとのかかわり方など、日ごろ生きていく上では見ないような起業家の活動を垣間見れる一冊であった。
ベンチャーキャピタル視点の本も前に読んだことがあるので、いろんな立場からベンチャー企業の設立というのを考えるのは面白いかもしれない。