[概要]
上に引き続いて、実際の大学の教科書に使われそうな基本事項がまとめてある。
こちらの本は研究開発や社内ベンチャー、成長戦略についてなど、より幅ひろいテーマが書いてある。
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[感想]
内容としては教科書的な内容が多く大きな学びはなかった。上巻とまとめて一冊で売り出してもよいとは思う。
個人的にはマトリックス型の組織はいいものと思っていたので、費用が大きく必要になることや事業環境が成長段階にしか使えないというのは収穫であった。
組織の形にはいろいろなものがあり、これまで漠然と事業部制などの短所を補っているからという理由でマトリックス型を良い組織であると思っていたがそうでもないらしい。
また社内ベンチャーの地理的な設置環境というのは、似たような話を聞いたことがあるがそれでも面白かった。
そのときの話では、研究所の場所と本社の位置関係により成果が変化するという事であった。
社内ベンチャーでも同じようなものなのかもしれない。
物理的な位置が成果にどれだけ影響するのか、これはもしかしたら人間関係という一番基本的な部分にどうしても影響するのかもしれない。
工程イノベーションと製品イノベーションという考え方は初見であった。
確かに良い製品は一度できてしまえばあとはみな技術革新により性能が上がっていく一方の気がする。
少なくとも新型のスマホに、発売当初のiPhoneのような衝撃はないだろう。
一方で工程イノベーションは製造過程において無駄の発見が可能になり、よりよくものを製造できるようになる。
当たり前の話であるが、この記載を見るのは初めてだった。
差別化しない戦略というのも面白かった。
市場が拡大するころには同じような製品を高品質や低価格で販売すれば、一人勝ちはないものの大きなパイをうまく全体で分け合うことが出来る。
これまで日本が成長してきたのはこのような戦略をとってきた部分が大きいのかもしれない。
少なくとも銀行は、かつてこの護送船団方式により守られ、そして今地銀再編などとピンチに陥っているのだろう。