[概要]
アップル製品の販売に携わっていた日系アメリカ人の著作。
起業やビジネスについて幅広く取り扱ている。
ヒト・モノ・カネ・技術を全て取り扱っているが、それらをみな筆者の視点で分析している。
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[感想]
450ページ、90章を超える分厚い一冊であった。
内容としては科学的な分析とかではなく、エッセイや経験則をまとめたような一冊である。
なかなか皮肉の利いた言い回しや日本人には普段聞きなれない海外の著名人のインタビューが掲載されていたりと、コンテンツとしても表現としても多岐に亘る。
経験則は面白いものが多く今の時代にどれだけ通用するのかは別として、学ぶことは多いように思う。
例えば、競争が始まるのは1億ドル(役100億円)からという話。
大企業ではそのあたりが事業としての対象になる範囲であると思う。
そしてそれよりも小さい収益の場合は見逃され、それが痛手となり後進企業に負けることもある。
大勝負になるのはこのあたりの金額からかもしれない。
起業する場合はいかに立ち回り、大企業が参入する前に体力や基盤を作れるかがカギを握るように思う。
また組織のマントラという考えもよく聞く話であると思う。
理念やミッションなどを掲げ、それを大事に抱えている企業はいくつか存在する。
そういった話を彷彿させた。
最適化と満足の話もあった。
現在AIなどで最適化は進んでいるが、それがいかに最適なのかという事は常々思っていた。
実はもっと最適な方法はあるのかもしれないがどこかで満足しているのかもしれない。
もしかしたら最も最適ではない状態も考えるべきなのかもしれない。
最適化というシンプルな言葉こそ深く考える余地はあるように思う。
共通の情熱という言葉もあった。
Linuxなど広く参加者を集め、アイデアを出し合い価値を作っていく。
これを一般企業でも行うことが出来ればより強い価値を生むように思う。
オープンイノベーションとして外部の技術を転用することはあるが、外部の求めるものを取り入れ共に作り上げることは、単なるマーケティングよりも深い成果を生むように思う。
参加することが大事なのである。
webマーケティングでtwitterを活用してうまく観衆を取り入れながら、宣伝や開発を行っている企業がある。
マクドナルドの業績回復もこういった部分をうまく生かしていた。
共通の情熱をうまく誘導出来る企業は大きな成果を生むように思う。
最後になるが知識の呪縛というフレーズはイノベーションなどを考えるには大きな障壁になると思う。
知ることで当たり前が増えていき、何気ない不自由さに目を当てることがなくなる。
イノベーションの最大の賛辞は、これまで気づかなかった当たり前のことに目を向けることであるとドラッカーは述べている。
呪縛から離れ、新たな視座で物事を考えることが出来れば新たな価値は生まれるのかもしれない。