日本のものづくり2.0 進化する現場力
[概要]
中韓が製造業の分野で頭角を現し始めた2008年ごろ、今後の日本の製造業はどうあるべきかということを書いた本。
組織、品質、技術伝承、ブランド価値という大まかに4つの視点と事例紹介という内容になっている。
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[感想]
聞いたことがある理論や意見レベルの話が多いような気がしたため、あまり得たものはなかったように思う。
本書の中で指摘されていた、中国などの海外への工場移転を誤りとする話は面白かった。
現状の日本企業の中で、日本に残すべきだった工場を海外に移転させてしまったことにより、長い目で見て失敗してしまった企業はどれだけあるのだろうか。
少なくとも、重要な技術流出が起きた場合は失敗であるだろうし、指摘されているようにそれなりに成功している限り過ちかどうかは判断できないだろう。
中国の政情を気にして、中国撤退する企業が日本でも増えてきている。
人件費の高騰以外にも、技術漏洩や国内の雇用喚起という面で日本国内に工場が回帰することを願っている。
人件費という一面以外も考慮に入れて正しい選択を望む。
またここでも取りざたされていたように、標準化と特許化のバランスをいかにとるかは、今後もさらに製造業で収益を得るために大事であろう。
本の中では物理的な標準規格を決め、細かい性能は各メーカーの内部の技術に依存させることににより収益を得ることを考えていた。
知財戦略ではものすごく基本的なやり方ではあるが、これが結構難しいように思う。
またそうすることで、組み立てという稼ぎにならないところは外注化させ、部品や素材、完成品といった部分で収益をあげれることが出来る。
こういう外注で良い部分を国外に移動させることが今後の製造業維持のカギを握るだろう。
ハイボールの理論は面白かった。なんとなく聞いたことはあるが、いま一度整理できたように思う。
エネルギー状態が高い方を安全にするというのは大事な原則である。