[概要]
前半は2000年代までの起業に関する法案や社会的な潮流をまとめたもの。
後半は実際の起業やカーブアウト事例に関して複数のケースがまとまっている。
過去の事例や歴史的背景を知るにはいいかもしれない。
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[感想]
日本がアメリカの制度と比べて10年近く遅れて制度設計をしているという事がはっきりと読み取れる。
50年前では、自社内に大規模な研究施設を持ったりすることで、商品開発に必要な研究が行うことが出来ていた。
しかし、研究内容の成否や内容が細かくなっていく中で、企業がリスクを取り切れなくなり外部の成功事例を必要とするようになっていった。
起業を促進するという点、特に大学内にある技術シーズを醸成して市場に送り出すためにはこのような仕組みはかなり重要である。
現在は大学ファンドという形で研究費を貸し出しており、各大学でも研究成果を市場に送り出すことで収益を上げる形を模索している。
こういった仕組み、TLOはこの時代にはできていたが、いまだに日本国内での浸透は弱いように見える。
製薬系・医療系の大学ベンチャーなどは数として多そうではあるが、その他の技術はまだ少ないのではないだろうか。
またこの本の中では大企業は革新的なイノベーションを起こせないと書いてあった。
その部分が個人的にすごく疑わしかった。
既存の顧客を大切にするあまり、革新的なことの挑戦できないというのはわかるが、実際に大企業は革新的なイノベーションを本当に起こせていないのか。
どういう理屈でそうなったのかは不明であるが、この点はずっと気になる点であった。