[概要]
IT機器の話などではなく、情報をもとに価値を産み出す産業への移行に対して企業がどういった戦略をとるのかや人々の生活はどのように変化していくのかをまとめた本。
ドラッカーやトフラーが好きな人ははまる内容であると思う。
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[感想]
前半は技術の複雑化によるNIHの難しさや、他社や大学と協力することで情報や製品インターフェイスを共有することなどをまとめている。
リスクを減らすためにもエコシステムの形成は今後さらに重要となってくるであろう。
これまでのメーカーとサプライヤーの関係、その間にあるインターフェイスについての内容は読んできたが、その中の人間的な仲間づくりの機能はあまり考えてこなかった。
良くも悪くもお得意さんであり、強固で閉鎖的な人間関係がある。
このような関係がビジネスにどれだけ良いのかはわからないが、既得権益の発生は社会全体から見ると弊害があるように思う。
弊害を回避しつつ重要な人間関係というものを作らなければならない。
この著者が作中で指摘していた、「この指とまれモデル」はクラウドファンディングのはしりであると思う。
現在はマーケティング調査も含めて企業が試作品の提供をクラウドファンディング方式で提供している。
この方式によるコンサルティング業などをベンチャー企業が行っている。
コストパフォーマンスやその有効性がどれだけあるのかはわからないが、このようなやり方は今後増えていくのかもしれない。
こういう販売手法の景品表示法とかはどうなっているのだろう。疑問。
この本の中で一番面白かったのはイノベーションの考え方である。
二つの水槽の水かさとそれらの水槽を結ぶパイプにより需給やイノベーションを表現していた。
この視点はとても分かりやすく感じた。
後半は情報社会への移行につれて社会がどう変化していくのかという点が面白かった。
農耕の時代、工業の時代、情報産業の時代と変遷してきたが、農耕の時代と情報産業との関係を考えるという視点が新しく感じた。
大学生が勉強しなくなった理由も、工業化社会には均一な技術者をつくることによるためであり、勉強し過ぎの尖った人材は必要なかったからとしていた。
現在はこの均一な狂気う方法はいいのか、海外のように興味に沿わせて個人個人の個性を伸ばすべきではないのかという議論がある。
他にも男女間や文明での移動の容易さから考えるというのも面白かった。
地方分散、男女共同、職住隣接など、農耕時代と情報産業時代が似てくるという考えである。
今後実際にどのように変化していくのかはわからないが、情報産業が今以上に主流になる時代は到来するだろう。