OPEN INNOVATION―ハーバード流イノベーション戦略のすべて
[概要]
アメリカで実際に行われていたオープンイノベーションの話をもとに、その重要性について論じている本。
中央研究所のような閉鎖的な環境で、規模の経済に任せて研究開発を行うシステムの危険性を警鐘している。
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[感想]
この本では実際にアメリカのオープンイノベーションで成功したいくつかの事例が載っていた。
これらの企業はクローズな研究体制から脱却したことで、より効率的なマネジメントを行えるようになっている。
実際には、オープンイノベーションがいつもいいとは言い切れない。
方法の一つでしかない。
マネジメントをする際に、どういうビジネスがいいのかという先見性がないと意味がないからである。
ビジネスモデルというブラックボックスに正確に入れこむためには、技術から生み出されるアウトプットへのイメージが必要不可欠である。
それもなしにオープンイノベーションを先行してはいけない。
そもそも企業内部での開発も、ビジネスモデルありきの開発でなければならない。
製品に必要な要素をモジュール的に構成するのであれば、模倣されてしまう。
モジュールを自社内でうまく擦り合わせる技術を高めない限りは、オープンイノベーションは成立しないように思える。
またこれは標準化戦略と似ていると思う。
標準化戦略では技術要件や形式の条件などを一般的に普及させておきながら、自社内では技術をうまく擦りあわせることで市場を確保する。
外部に技術などを公開しておきながら、内部の技術でしかすり合わせ出来ないようになればオープンイノベーションとしても、標準化戦略としても成功であると思う。
ここで重要になってくるのはどちらもすり合わせに必要なコアコンピタンスである。
どちらにせよ、企業は外部と内部のもつ、知識や技術の差をうまくビジネスモデルに落とし込んでいかなければならない
クラウドソーシングの拡大や雇用の流動化により、特にIT関連でこのオープンイノベーションが成立するようになると思う。
外部からモジュール的に技術を集めるには、こういった条件があるとより便利である。
いずれにせよ、モジュール的に集めた技術を社内で秘匿的にすり合わせない限りは模倣を許してしまう恐れが高い。
最後に漏斗型の図と〇の絵があったが、〇は具体的にはなんであったのだろうか。
具体的な説明はなかったように思う。
技術なのかアイデアなのかそれ以外なのか。
そこに対する理解を深めれば、さらに本書を理解できる気がする。