[概要]
相反する決断にせまられたとき、どのように考えるべきか。
実際に事例をあげ、必要な考え方、哲学的な理論と共に解説している。
「決定的瞬間」の思考法?キャリアとリーダーシップを磨くために 中古価格 |
[感想]
なかなかに難しい内容であった。
事例として挙がっている問題はどちらも正しいことと正しいことの衝突である。
どちらが正しいかは時代の流れや本人の思考によって変わるかもしれないが、その部分を深く掘り下げてもなかなか判断できないようなものばかりであった。
正しさを求めるために片方を犠牲にする(可能性が高まる)場合、誰しもが悩んでしまう。
今回は働く中で起こりえるような同様な問題ばかりであったが、私生活であれそのようにどっちをとるべきかというので悩むことはよくあると思う。
そういった問題解決のヒント、ヒントというのも解決の糸口というより思考の手順であるが、そういったものがまとめてあった。
哲学や倫理に詳しい人には当たり前の内容かもしれないが、哲学者の引用も多く使われているため一見とっつきにくかった。
このような事態に陥っても行動するためには、自分の価値観を確立させるのみならず、立場によっては世論動向なども常に省みておく必要がある。
ただ2番目のシングルマザーの事例においては、個人的には働き方を見直すべきではと思った。
ここでいう働き方は無駄な書類づくりはしていないか、だとかそういった点である。
今回の事例として挙げられている中で、この事例だけは板挟みではないような抜け穴の解答があるのではと感じてしまった。
また企業理念の話は納得がいく点もあった。
就活で見る限りはどの会社も似たようなスローガンを掲げていた。
就活の時に見たパンフレットには、どの会社のものにも必ずイノベーションと書かれていた。
全ての企業がそうであるとは思わないが、こういうあいまいな言葉遊びばかりしていては、いざというときの判断もしかねるように思う。
企業文化まで落とし込むことが出来ていた場合には、事例の主人公たちももう少し考えやすかったのかもしれない。
またJ&Jのタイレノールの事故については知っていたが、それ以外にも多くの事件を起こしているとは知らなかった。
その中でいつ、J&Jのクレドが完成し社内に根付いていったのかが気になった。
それと同時に、事故でのレポーターからの質問の答えはかなりよいものであり、このような受け答えをできるように常にアンテナを張っておかなければならないと思った。
最後になるが、ナチスでユダヤ人を救ったシンドラーが行動を起こした理由に興味を持った。
実際にはもう、その理由はわかることはないのであろう。