[概要]
東日本大震災が起こる前、原発が起こる前に書かれたエネルギー問題に関してまとめた本。
当時は現在よりどうしても、原子力発電を進めることで火力発電を減らしエコにしようという声が多かった。
そんな時代に書かれた本であるので、現在よりも原発利用の主張が強いが、おおむね今でも納得できるような技術の話などが記載されている。
クリーン&グリーン エネルギー革命?サステイナブルな低炭素社会の実現に向けて 新品価格 |
[感想]
エネルギーといってもこの本の中では電力供給に関すること以外にも、住宅のエコロジーについてや時勢型路面電車の利用、バイオマス発電についても書かれている。
そのため視点の幅は広いように思える。
石炭火力発電の代替として原子力発電を使うことで今のようなシステムを維持したまま電力供給が可能になる良い体であった。
しかし現実はそうはいかず、石炭火力発電の利用は未だにある。
高性能とはいえ、火力発電機を海外に売り込むさまを国際的に非難されているものの、現状の解決策が特にないためどうしても石炭に頼らざるを得なくなっている。
CCSの利用により石炭発電の利用は依然として行えるかもしれないという論調がこの中でもあったが、実際に今の研究はどれほどうまくいっているのだろうか。
またこの本の最初の方にあったようにモノは市場に飽和している。
ポスト資本主義社会ともいうものの実態を改めて気づかされた。
日本市場ではせいぜい400万台の自動車販売を争うしかないのである。
しかもそれが縮小傾向にある。
一方で、これがすべて市場に行き渡るところから本当のリサイクルの重要性や人類の資源の両に気づかされるのである。
この考え方は面白かった。
こういう風になれば、エネルギーの消費はあるかもしれないがむやみに資源を奪い合うことはなくなるのかもしれない。
また日本の石炭火力発電機の性能の高さを改めて知って驚いた。
日本のものに代替できれば、日本の年間の排出量相当の二酸化炭素の削減が可能である。
これはむしろ石炭火力発電を売りに出すべきではないかと思えてしまう。
最後になるが、経済成長以外の豊かさを求める時代がもうすぐに来るのかもしれない。
リベラルという事ではなく、価値観が変わりだしている可能性がある。