「経済」で考える力がつく本―お金の流れを知れば仕事の急所が見えてくる
[概要]
当時のはやり言葉を並べた印象が強い。
大きな政府をやめて、NPOなど民間による自律的な公共政策という点の必要性は納得がいくが、定義があいまいだったり根拠が弱かったりするように感じる。
それでも所々に面白いトピックはあった。
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[感想]
ポスト資本主義社会、ポスト産業社会、産業社会 などという言葉が前半にどんどん出てくる。
しかしこの違いの説明はなく、そもそも書いてある定義も間違っていた。
岩井克人の著作から言葉を参照している文章が後半にあるが、岩井克人のいうポスト産業資本主義と著者の定義がずれているように感じる。
同じだとしても、説明が少ない割にいきなり違いの分かりにくいような専門用語を並べるのは不親切なつくりに感じた。
面白い部分もあった。
最初は趣味程度から始まるレベルのいかがわしい文化も何らかの産業になる可能性を秘めているという点である。
youtubeによって、現代ではゲームの配信ですらマネタイズするようになってきている。
この話はあながち間違っているようには思えなかった。
今は趣味レベルのものがいかに産業になるのかに着目していきたいと思う。
また小さな政府にし、NPOの力を借りることで社会保障を充実させようという考えは非常に重要であると思った。
現在も政府がコロナへの経済対策として給付金を撒いている。
このように大きな政府になる道がつながると、今後世の中はどうなっていくのか。
作中にもサッチャー英首相の構造改革の話があったが、この成果とブレア英首相の成果がどれくらい関係があるのかが気になった。
それに加えて、岩井克人がバブル崩壊後の株式会社を指して株主主義と言っていたのが面白かった。
堺屋太一は株主をおろそかにしていると指摘しており、両者のこの違いは何から生まれているのかが気になる。
どこにどういう違いがあり、それぞれどういう指摘をしているのかを並べてみたい。
また見せびらかしたいという欲求が王侯貴族の中で高まることで需要が生まれたというのが面白かった。
今のインスタグラムに投稿する人々と当時の帰属に違いはないのかもしれない。
ただこの本の最初にあった「知識病」というのには気をつけたい。
知りたいことが多すぎて、何でも手を出している気がする。
このままでは器用貧乏みたいになってしまう。
もう少し専門性や突出した能力がないと意味がない。