ドラッカーの遺言
[概要]
ドラッカーの亡くなる半年前に行われたインタビューをまとめた一冊。
余白も多く、ページ数も少ないためドラッカーにしては読みやすい。
日本に対してのメッセージが多く記されている。
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[感想]
これまでにドラッカーの本は何冊も読んだので見慣れた台詞も多いが、毎回学びがあるような気がする。
ドラッカーは当時の日本は変わり目の時期にあるとしていた。
今から15年近く前のことである。
どれほど変化を遂げたのだろうか。
現在はコロナ騒動の影響で、日本に残る負の遺産、負の文化を少しづつ改善しているようにも見える。
それはこれまで当たり前のように保護されていた印鑑の文化であったりする。
実際にこの本の中では、保護主義によって守られ続けた銀行の解体が挙げられていた。
また併せて悪しき伝統として官僚のシステムについて言及していた。
これら以外にもいまだに残る負の遺産からの脱却が日本が世界からの遅れを取り戻すために必要なのであろう。
コロナ騒動の利点は、利権や組織政治を無視し、そういった変化のきっかけになったことのように思う。
そういった中でも、終身雇用制度は残しつつも雇用の流動化を進めるべきであるという指摘もあった。
おそらく終身雇用制度により、コミュニティを形成することの重要さを言い表したかったのであると思う。
JPモルガンの創始者の言葉として、一般社員の20倍の給料を得るのは誤った経営であるとの記述があった。
ソニーの内部について書かれていた本にもあった。
20倍という数字はともかく、このようないびつな報酬金額が会社組織や資本主義をゆがめるのかもしれない。
最後に日本に情報技術に関してリードする存在となれという言葉があった。
GAFAなど欧米の企業が日本の情報産業の中心を占めている現在、ドラッカーの言うような成果はいまだに挙げられていないのであると思う。
日本は情報産業の潜在能力を持つとしていた。それが花開くことを望みたい。