[概要]
10年前の中国の科学技術や大学、企業の研究環境の実態などをまとめた本。
現在話題になっている、千人計画やコロナの発端と騒がれたウィルス研究所など、今読んでも当時の実態から現在への影響を考えることが出来面白い。
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[感想]
この本を読んでいると、中国の技術の上澄みは本当に世界最先端であり、そこに向かってきたのは必然であったように感じる。
大したことのない技術をハイテクと呼んで補助金を得ようとする詰めの甘いところもあるが、科学技術優遇の政策や人材登用を見ていると得られるべき成果を得てここまで発展してきたことがうなづける。
実際に千人計画の全貌や海亀など、技術スパイといううわさは置いておいて、かなり技術に特化した政策である。
このようなことを国ぐるみで積極的に行っているからこその産業の成長力なのであろう。
単純に人口が多いから市場が大きいなんて言うことではないのである。
そしてこの作者が本を書いた時の予想はおおむね的中しているのではと思ってしまう。
日本に旅行して大きな声で騒ぐ中国人や日本の製品のパクリ品を売っている中国人ばかりを見ていてはいけない。
政治的な好き嫌いは別として、実際にその成長力や技術にかける考え方は日本以上であると感じた。
政治と経済と今後どのように中国と付き合っていくのかは重要な問題である。
歴史問題は何度も蒸し返され領土問題も現在進行形で起こっている。
しかし彼らの姿勢には学ぶところも多い。
用日という言葉が韓国にはあるらしいが、それこそ海外の良いところを吸収する姿勢が今以上に重要になってきている。
また中国の良いところは失敗に対して真摯な点である。
日本で宇宙計画の失敗が起こった時は必ずといっていいほど予算が削減される。
しかし中国をはじめ、海外では予算増強もあるらしい。
失敗を罰する文化である日本では科学技術が育っていかないのもうなづける。
またこの本の中ではライフサイエンスの話があった。
そして未知の病気の話もあった。
今回のコロナ騒動で中国が犯人扱いされている。
実際はともかく、そういった新しいことが研究できる土壌があるという点ではやはり中国は日本の先を進んでいるように感じる。