ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学
[概要]
経営学の中では古典的な内容としてポーターのフレームワークなどが定番となっている。
これらは数十年前に開発されたものであり、それ以降経営学として定番な研究は多くない。
この本は、ポーター以降の経営学の著名な発見をまとめて紹介してくれている。
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[感想]
ポーター以降の経営学の中から著名なものをテーマごとにまとめてくれていた。
海外で有名な論文が出ても日本に来るには4年近くかかることもある。
海外での論文発表後、経営学の中でインパクトを残して浸透し書籍化までに一年から二年。
その書籍が話題になるまでに半年。
日本に出版社が翻訳版を刊行することを決定して、実際に翻訳し日本語版の書籍を完成させるまでにさらに1年以上。
もしもこのペースで海外の知識をとりいれていたら、その情報が日本に浸透するには数年も掛かってしまう。
ビジネスの世界で3年もすれば情勢は大きく変わる。それは大きな痛手である。
この本の出版年と同じ年に発表された、インパクトの大きかった論文も掲載されており、そういった意味で本当に最先端の知識を提供してくれていた。
ポーターを新旧の対象にせずとも、こういう目新しさは十分にありがたい。
いくつか本の中の会社の事例に関して、本当に?と思うところはあったが、おおむね納得できた。
広く浅く学べる機会というのは重要であると思う。
ただ本の内容上仕方のなっことだが、MBAや実際の経営者の立場でないと利用しにくい内容も多い。
極端な話、論文や理論が好きな人、システマティックに考えたい人向けであり、現場で今日の作業の改善に追われている人にはおとぎ話になるかもしれない。
問題があるとしたら、この本だけを読んで知ったつもりになる人が出る事だろうか。
この本をきっかけとして、実際の論文の原著を読んだりし、その背景から丸ごと理解することが一番望ましいように思う。
なぜならインパクトが大きな論文であったというだけであるからだ。
研究の都合がいいところだけを理解するのなら、占いを信じるのと変わらない。
別の類似の研究と比較し自分の中の理屈と勝負させて「考える事」それが大事である。
そのための、そもそもの世の中を「知るきっかけ」を提供してくれる本であった。