[概要]
コンテナはどのように生まれて広がっていったのかが詳細に書いてある本。
コンテナを商業的に普及させたマクリーンの行動を中心に、海上輸送産業全体の動きが記載してある。
コンテナが普及したことにより世間にどういう影響が起きたのかを、様々な立場からまとめてあるため、単眼的な解説になっておらず分かりやすい。
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[感想]
事例集としては、かなり綿密に書いてありすごく面白い本だった。
コンテナがいかに普及してきたのかが綿密に書いてあるため、様々な疑問を解決しながら読み進めることが出来た。
日本が戦後復興に成功したのもコンテナのおかげといっても良いのではないだろうか。
コンテナがなければ、輸出により外貨獲得をうまく行うことが出来ずに成長できなかったように思う。
ちょうどJapan as No.1 の真っただ中にコンテナの全盛期が来たのではいのか。
技術力もあるかもしれないが、コンテナがなければここまで成長できなかったように思う。
調べてみたところ、日本の貨物輸送は海上輸送のコンテナサイズに適していない(違っていたらすいません)。
これにより、日本の物流はどういう影響を受けたのかも個人的に気になる。
当時は国鉄であったために、国主導でコンテナリゼーションを行うこともできたはずである。
しかしコンテナのサイズは海上輸送のものとは違っていた。
ではなぜ、コンテナのサイズを統一しなかったのか、そこにどういう戦略があったのかを解き明かすのは面白そうである。
コンテナの成功は沖仲士によりここにカスタマイズされていた海上輸送を、コンテナで単純化したことである。
つまりコンテナにより輸送という概念がモジュール化されている。
画一化することで大量に物事を行えるようにしてある。
製品のモジュール化がイノベーションを起こす時とは一般的にはどういう状況であろうか。
当時は大量生産大量消費の時代であったこともあり、この手法はうまくいったのではないか。
今は個人でいろいろ変化させるのを楽しみ、その結果をシェアしたりすることが流行っている。
そう考えると、どういう条件だとモジュール化が認められて、どういう条件だと個別カスタマイズ化が求められるのかが気になる。
おそらく個人で作業することを楽しめるレベルではカスタマイズ化が求められ、それ以外の土台の部分ではモジュール的に開発を行うのがいいのであろう。
最後にマクリーンは一番手で実行したがうまくいっていない。
これはEMIのCTスキャンに似ている。
結局一番手でうまくいっていない。
もしかしたら市場で成功するにはイノベータの模倣でも十分なのかもしれない。
もっともこれは燃料価格の変化によるものでもある。
時期的に中東戦争だろうか。
ただコンテナリゼーションの推進を進めたのもベトナム戦争がきっかけである以上、外部環境の変化はイノベーションに大きな影響を与えている。
これをうまく使いこなせる人間がビジネスを成功させ得ると思う。