[概要]
憲法を学ぶ上で知るべきであると思われる有名な事例や判例が書いてある。
主な判例は過去の人権に関する裁判についてである。
各判例とその背景などについて細かく記載されており、門外漢でも考えながら読むことのできる一冊である。
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[感想]
この本は人権についての判例が非常に多い。現在「人権」を良くも悪くも拡大解釈し、ニュースになっていることが多い気がする。
「人権」というものが尊さの象徴として神格化されており、何人たりとも侵すことのできないものになっている。
こういう世の中の様子を見ていると、本当に困っている人たちの人権と、言ってしまえば、我がままによる「人権」がごっちゃになってきているようにも思える。
人権とは何なのであろうか。
これは弁護士やマスコミがビジネスのために騒ぎ立てるものであってはならない。
本当に困っている人たちを必ず救済出来るようにきちんと尊重しなけらばならない。
ではどこまで行けば、ビジネスでどこからが救済なのかと問題提起される。
しかしその線引きは難しいように思う。
今回この本を読んだのは、学部時代の授業に参考図書として挙げられていたからである。
実際に人権について考えるきっかけは、必ず必要であると思う。
個々で人間は違うのだから、救済なのか甘えなのかを判断するのはなかなか難しい。
その基準を作りきっかけとして、過去の判例から学ぶというのは大事な機会であると思う。
また純粋に読み物としても興味深い内容であった。
また人権以外の内容であっても、興味深かったように思う。様々なステークホルダーがいる中での憲法という存在の力強さを感じた。
世界情勢も安定せず、それにあわせて憲法改正が行われようとしているが、極端な意見で不安をあおるのではなく、こういった文献を読んで情報を集めたうえで自身の考えを決めるべきであると思う。
領海侵犯以前に、現代の戦争は核兵器一つ、一撃で国を壊滅出来るようなものである。
その中でどこまで憲法で制約をかけ、どこまで自由にするのかという線引きは非常に難しい判断であるように思う。