[概要]
全3部作あるうちの第3巻。
この本では過去の金融ショックの際にどういう人たちが破産したのか、取引所や政府はどう動いたのかがまとめてある。
NHKスペシャル マネー革命〈第3巻〉リスクが地球を駆けめぐる 中古価格 |
[感想]
全体的に内容は面白いのだが、取材班の質が低かった。
当時はインターネットはないし、あくまでも特集作成のグループであるので高度な知識も必要ないのだが、無勉強で相手に質問に行くのは失礼にあたる場合が多いのでそこが気になった。
スケジュールの都合もあるだろうが、丹念に勉強を重ねて取材をしていればさらに面白い内容になったのではと思う。
最近は専門記事を書くジャーナリストですら質が低い場合があるので、マスコミというものを疑ってしまう。
NHKの取材班でなければこのような厚遇はなかったのではないかと思う。
内容としては、いつの時代も人が欲をかき大きく失敗している。
今回の失敗した人たちは様々なデリバティブ取引によって散っている。
またそういったショックが起きた際の市場での処理作業も始めて見聞きすることであり、大変さが伝わってきた。
当時は手作業の集計も多かったせいか、よほど大変な処理作業であったことが伺える。
今も市場を取りやめることがないというのも、当時市場を何としてでも開けようと努力した人たちのおかげである。
この本の終わりにはチューリップバブルの話があったが、個人的には今の仮想通貨もその延長線上にあるように見えてしまう。
実際に法定通貨で同じことが行われれば、仮想通貨などなくとも、それで済んでしまう気がする。
この本の最後に書いてあるが、世界中の優秀な頭脳が金融ゲームをしていることは世界的に良いことなのだろうか。
あくまでも価値の保全が重要なのであり、利益の保全が重要なのである。
金融業自体は生活に効用を生まない。
重要な産業であることもわかるが、虚業という人の意見もうなづける。
さて、コロナの金融緩和はこの後どういうドラマを生むのだろうか。