[概要]
1999年時点で、物事を所有する世の中から利用する世の中へ移り変わるという事を指摘した本。
インターネットが普及しシェアが当たり前になった現代ではこの考え方は当たり前であるが、当時これを見抜いていた慧眼は素晴らしいように思う。
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[感想]
インターネットの普及も手伝って、この作者が書いたような世界になってきている。
少なくとも雇用改革が行われ、本来は優秀な能力を持つ人を利用したいときだけ使うという前提が、非正規雇用として雇うことで従業員を「所有」する責任を回避する流れにはなっている。
それ以外にもシェアを前提としたサービスや大金をはたかずに物を利用するサービスは次々と出てきている。
むしろ利用という観点ではシェアリングサービス以外にもサブスクリプションさーぼすという形で定額を払い続けることでその便益を得続けるものが増えている。
世間的にもサブスクリプションは収益を安定的に得られるので優秀なビジネスモデルであるとする流れがある。
この本の中ではバブルは所有欲の最高潮への高まりであると書いており、それと同時にバブル以降の失われた10年について言及していた。
つまりバブル崩壊は所有から利用へのパラダイムの変換という事になるらしい。
バブルの崩壊による価値観の変容や、護送船団方式の解体による「所有」の仕組みのもとに発生していた既得権益の解体が新たなパラダイムを切り開くらしい。
実際は効率化の名のもとに、少なくとも雇用面では弱者切り捨ての流れになっている。
優秀なものは囲い込み、そうでないものは利用する。
経営戦略としては正しい考え方かもしれないが、「所有」による既得権益は「利用」の段階になることで変化したようには思えなかった。